よくあるご質問

養子と相続と相続税について

(養子制度について)  養子制度は、古くから「家制度」維持のために設けられた制度であり、日本では民法に定められている「普通養子制度(民法792条~)」と昭和63年1月1日より新設施行された「特別養子制度(民法817条の2~)」とがあります。

「普通養子制度(民法792条~)」とは、当事者の合意に基づく養子縁組の届出により、20歳以上の者が、その尊属又は年長者以外の者を「縁組」する制度であり、戸籍上は、「養子」と記載されるために戸籍をとればわかる仕組みになっております。

一方、「特別養子制度(民法817条の2~)」とは、普通養子制度とはその制度趣旨が異なり、養子の対象となる子の健全な保護育成を図るための制度となっております。そのため、普通養子制度とは異なり、その要件として、原則として25歳以上の婚姻中の者のみ養親となれ、養子となれるのは原則6歳未満のの者であり、家庭裁判所の審判を要します。また、戸籍上は、「長女」「長男」等記載されるために、一見では養子と分からないようになっております。

(相続について)  養子縁組があった場合には、養子縁組の日から嫡出子の身分を取得し(民法809条)、血はつながっていなくても法律上、血がつながっているものとして親族関係を発生させます。従って、当然として、相続人となり、相続分もあります。

(相続税との関係)  民法上は当然として相続人となりえても、民法上の養子を相続人としてそのまま相続税の算定上も相続人として認めたことにより、過去においては様々な弊害が生じました。具体的には、相続税の負担軽減のために養子縁組をして、基礎控除額を増加し、また、累進税率の適用を緩和しようとする人が現実に生じたのです。昭和63年当時の大蔵省の資料に現実になされた養子縁組の例として、相続税の租税回避の目的としてしか考えられないような実際の事例が上がっております。

事例1・ 昭和58年 相続開始2年6ヶ月前 養子10人、  事例2・ 昭和59年 相続開始2日前 養子8人、  事例3・ 昭和58年 相続開始1日前 養子5人 など、多々記録に残っております。

このような、相続税の租税回避行為を阻止するために、昭和63年の改正において、相続税の計算上、法定相続人の数に算入することのできる被相続人の養子の数は、被相続人に実子がある場合には1人、被相続人に実子がいない場合には2人と規制されました(相続税法15条2項)。これにより、養子制度を用いた相続税の租税回避行為防止は、完全とはいかないまでも一定の防止にはなっております。

ただし、相続税法上の規制は、あくまでも相続税の計算上での防止策であり、民法上では養子の数の制限はなく、相続分も民法上の通りになります。

愛媛県松山市古川北1丁目17番1号
なかむら税理士事務所
税理士 中邨勝之